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Column[ コラム ]

ピアノの練習で使うバイエルとは?特徴やメリットを詳しく解説

ピアノの練習で使うバイエルとは?特徴やメリットを詳しく解説

ピアノを学び始める多くの人々にとって、ピアノバイエルは最初の入門テキストとして出会うことの多い教材です。バイエルは基礎からクラシックピアノを学ぶための入門書として広く認識されており、日本では特に最も有名なピアノ教則本の1つです。

この記事では、バイエルが今日でも多くのピアノ学習者にとって活用される理由とともに、バイエルの特徴やレベル感について詳しく解説します。ピアノの上達を目指している方はバイエルの特徴を知り、自分に合った教本で練習を重ねましょう。

ピアノバイエルとは?

ピアノバイエルとは、ドイツの音楽家フェルディナンド・バイエルが1851年頃に初めてクラシックピアノを学ぶ人を対象に作った、ピアノ奏法入門書のことです。日本で最も有名なピアノ教則本とも言われ、長年の間ピアノの入門テキストとして使われてきました。

ここでは、ピアノバイエルの歴史や種類について解説します。

バイエルの歴史

バイエルは、ドイツ人作曲家でピアニストのフェルディナンド・バイエルによって、 1851年頃に出版されたピアノ教則本です。ドイツ語だけでなく、英語やフランス語、スペイン語にも翻訳され、クラシックピアノを学ぶ人たちの入門テキストとして世界中で使用されるようになりました。

日本にバイエルが持ち込まれたのは、1880年頃と言われています。東京藝大にあたる音楽取調掛に音楽教師として赴任してきたアメリカ人のルーサー・ホワイティング・メーソンが、音楽教師養成のためにバイエル教本を持ち込んだのがはじまりです。当時はアメリカから輸入した英訳されたものが使われていましたが、バイエルは長きにわたってピアノ教育に欠かすことができない教則本として普及していきました。

ピアノバイエルの種類

ピアノバイエルには、大きく分けて「子ども用」と「大人用」の2種類があります。子ども用のバイエルは上巻下巻で構成されており、上巻は通称「赤バイエル」、下巻は通称「黄バイエル」と呼ばれています。

「赤バイエル」には1~43番の練習曲が収録されており、片手で弾く曲が多く収録されているためピアノを始めたばかりの子どもやピアノ初心者が挑戦する教本として有名です。下巻の「黄バイエル」は、「赤バイエル」が終了した人が次に取り組む教則本で、両手でピアノを弾く曲が中心になります。下巻には44番から106番の練習曲が収録されています。

通称「標準バイエル」と呼ばれている大人用バイエルは、1番から106番の練習曲が1冊にまとめられた教則本です。子ども用のバイエルと比べると楽譜が小さく書かれており、上巻下巻を1冊にまとめていることを特徴としています。日本でクラシックピアノを学ぶ人の大半が使用している教則本で、練習曲の他には進度に合わせた併用曲を24曲収録しています。

バイエルのレベル感は?

バイエルの難易度は、使用する教則本によって異なります。「赤バイエル」は片手で弾く曲を中心に収録されているので、ピアノを習い始めた初心者向けと言えるでしょう。

一方「黄バイエル」は、「赤バイエル」を終了して両手で弾くことに慣れた頃から練習する教則本です。そのため、「黄バイエル」は少し難易度が高めと言われています。特に後半に収録されている曲の難易度が高く、人によっては弾けるようになるまでに時間がかかってしまうこともあります。

バイエルでピアノを練習するメリット

初歩のピアノ教育の中には、5本の指を連続する鍵盤の上に置き、手の位置を固定したまま練習する「5指ポジション」という考え方があります。連続した5つの音を両手の指に割り当て、10本の範囲内でピアノ演奏をする初歩段階のトレーニングで、当時のドイツでは「静かにした手」と呼ばれていました。

バイエルピアノ教則本の最大の特徴として、1~64番の練習曲で「静かにした手」のトレーニングを徹底的に行える点が挙げられます。62番を除いた練習曲は基本の「5指ポジション」でさまざまな動きを習得できるカリキュラム設定になっていることも、バイエルでピアノ練習するメリットと言えるでしょう。

また日本のピアノ教育では、ピアノはバイエルから始めることが一般的なコースとされていました。バイエルを終了した後は「ブルグミュラー25の練習曲」、その後「ソナチネアルバム」の順番でピアノ学習を進めていきます。バイエルからブルクミュラーへと移行する際、橋渡し的な意味を持つ曲として全音楽譜出版社出版の「子供のバイエル(下)」に収録された92番があります。

全音楽譜出版社の「子供のバイエル(下)」では、92番の隣のページに「ブルグミュラー25の練習曲」の2番「アラベスク」が引用されています。この2つの曲のテクニックは非常に似ているため、バイエルでテクニックを習得すると他の教本への移行がしやすくなります。基本的な技術を学びつつ他の教本への準備にも適している点も、バイエルを使うメリットの1つと言えるでしょう。

バイエルでの練習が適している人には、はじめてピアノを習う人や、独学でピアノを学ぶ人、片手ずつしっかりと練習をしたい人が挙げられます。また、バイエルは保育士採用試験の課題として出題されたこともあるため、幼稚園教諭や保育士を目指している人にとってもおすすめの教則本です。

バイエルが「時代遅れ」だと言われる理由

出版されてから170年以上の歴史を持つバイエルですが、実は作曲家バイエルの出身地ドイツでは現在ほとんど使われていません。教則本として使い続けているのは日本くらいだと言われていることも、「古い」「時代遅れ」だと言われる理由の1つと言えるでしょう。

バイエルの問題としては、「曲数が多く、単調」という点が挙げられます。バイエルには100を超える練習曲が収録されていますが、全体的に単調なメロディーで決まった型の伴奏が多く、初級者でも弾けるように鍵盤の音域も広くはありません。

また、「ヘ音記号の登場が遅い」点も、バイエルの問題点の1つです。バイエルの前半はト音記号とハ長調の練習曲が続くため、白鍵のみを使用した狭い音域で同じような曲を弾くという期間がどうしても長くなります。途中で登場するヘ音記号や黒鍵の使用を難しく感じるピアノ学習者も多く、広い音域の曲に対応できないなどの問題点がピアノ教育専門家たちから指摘されるようになりました。

バイエル以外のピアノ教本にはどのような種類がある?

バイエル以外にも、ピアノの教本にはさまざまな種類があります。ここでは、それぞれの教本の特徴やメリットについて解説します。

  • ブルグミュラー
    ブルグミュラーはタイトルで曲の情景をイメージし表現力を養えるように、収録されている曲に親しみやすいタイトルがついている点が特徴です。調性や拍子などさまざまなタイプのピアノ曲を収録することで、表現力を支えるテクニックを身につけられます。3冊の教本があり、徐々に難易度が上がっていくため、初心者から上級者まで活用できます。小さな手でも弾けるようにオクターブは出てこず、1~2ページ程度の短めの曲が収録されている点も、ブルクミュラーの特徴です。
  • ハノン
    ハノンは、指の練習に特化した曲を収録したピアノ教則本です。ピアノ初心者だけでなく、上級者からもウォーミングアップとして愛用されています。収録されている曲は単純な音の羅列のように感じるかもしれませんが、実際に弾いてみると初心者には難しく感じるのも特徴です。ハノンを練習することで薬指や小指などの動かしにくい指がなめらかに動くようになるため、ピアノを弾く人には必携の教則本と言っても過言ではありません。
  • サブ・バイエル
    サブ・バイエルは、バイエルの長所を残しつつ欠点を補うために編纂されていることを特徴とした教則本です。ピアノレッスンでも愛用されている教材で、チューリップやジングル・ベル、まつぼっくりなどの親しみやすい曲も多く収録されています。

まとめ

ピアノバイエルは、初心者から上級者まで幅広いレベルの学習者に適した教材です。バイブルに収録されている練習曲は、基本的な手の形から始まり、徐々に複雑な内容になっていくため、確実にピアノのスキルを向上させることができます。ピアノ上達を目指す方は、ピアノバイブルなどの教本を活用しましょう。

また、効率的にピアノを習いたい方は、教室に通うのもおすすめです。正しい姿勢や上達に必要なスキルなどをプロから直接教えてもらうことで、スムーズなスキルアップを目指せます。